「福島県双葉郡へ」  2021.03
topへ
「よかったところ」topへ
 震災から10年が経った時点でも、ふるさとへ帰ることができない地域を多く抱える福島県双葉郡のいくつかの街を、昨年に引き続き訪ねました。目的の一つは、復興道路の開通区間や、街並みの復興を勉強することと、開館した原子力災害伝承館の見学、そしてその土地の食べ物などをいただくことです。

 この白っぽいコンクリート埃が立ち込めるトンネルは、開通したばかりの気仙沼湾横断橋に至る、三陸道の一部です。通常は速度制限は80kmと思いますが、少し先から50kmになっていました。これは開通間もないために車が集中して、開通区間のインターから降りる所で渋滞が発生しているためでした。
 気仙沼大島の亀山展望台から建設途中の橋脚だけを眺めたことはありました(上写真の右奥)が、完成して実際に通るのは初めてです。二連の斜張橋で快適に走行できます。欲を言えば前後のインターが片方向へしか乗り降りできない、ハーフ又はクオーターインターが多くて、目的地との関係を十分把握してから乗らないと、だいぶ乗り過ごしてから戻って来なければなりませんので注意が必要です。
 目的地は福島ですが、夕刻までに相馬の辺りを目指しますのでゆっくり寄り道しながら進みます。女川に立ち寄って昼食の海産物をいただいたり、見つけたミニストップでパフェを食べながら行きます。
 松川浦の畔にあるホテルで温泉をいただきますが、少し前の地震の影響で日帰り入浴だけの営業でホテル宿泊はお休みだということです。途中の新地町では屋根が壊れてブルーシートで応急処置をしているお宅が多くありました。津波が無かったのが不幸中の幸いでしょうか。
 翌朝は昨年と同様に松川浦を一周して、鵜の尾岬も見学します。左写真の左側にあるトンネルの手前にも駐車場とトイレがありますが、この時点ではまだ閉鎖中でした。Pキャンには良さそうですが、津波が来たら逃げる場所を考えておく必要があります。岬の上の方は被災しなかったようですし、松川浦大橋の上部なら大丈夫かと思われます。
 松川浦大橋の南たもとには園地があって、こちらのトイレは閉鎖されてはいませんでした。凍結対策が不要な区域なのかもしれません。眺望はイマイチですがこちらはPキャンに良さそうです。
 和田観光苺組合では、直売とイチゴ狩りを受け付けています。大部分は直売目当てですが、この日は列車とタクシーを乗り継いできた高校生のグループもいました。開店は10時ですが、1時間ほど前から入店整理券を配り始めます。担当の方が車で到着次第配るので、この日は8時50分位でした。車は平日にもかかわらず10台近く待機していましたが、整理券をもらうと一度どこかに行ってくる方が多いようです。
 海沿いの道や国道6号を使って、浪江町にやってきました。昨年は出来ていなかった道の駅がにぎわっています。(駐車区画は手前側で写っていませんがたくさん止まっていてけっこう大規模な道の駅です。)
 地場産品を中心に、各種売り場や店舗が充実しています。甘酒を作るための酒粕を買ってきましたが、これまでに味わった同種の材料としては一番おいしく感じました。他に味噌饅頭も好きなので買いました。 
 右写真は浪江町イメージアップキャラクター「うけどん」だそうです。 すみません、まだ由来等は勉強していません。帽子みたいなのは魚の頭のようです。
 館内には報道写真パネル展の掲示がありました。道の駅やイオンや常磐線全通など復興に向けた動きが進んできた感じもする浪江ですが、「双葉郡ぐるりんガイド」という、福島県電源地域振興財団が発行している冊子を見ると、この道の駅の辺りから海辺にかけての区域を除いて、浪江はまだ大部分が帰還困難区域になっているようです。
 イオンの右に見える、階段が目立つ建物は、津波避難タワーでしょうか。地形図で標高を確認すると、確かに10mまでも無い所のようです。
 南下して双葉町に入ると、右写真のように未だに「帰還困難区域」「軽車両・歩行者は通行できません」の看板が何度も現れます。
 この記入時点でオリンピックの聖火が回り始めましたが、歩行しないで走るから良いのかな?との冗談を述べるのも気が引けます。店舗や事業所が国道沿いにありますが、あそこはやっているかなと思っても、近づいてみると草や木が伸び放題で、未だにガソリンスタンド以外は廃墟のようになっています。
 2020年に開館した東日本大震災原子力災害伝承館にやってきました。右側は双葉町産業交流センターです。
 伝承館は、事故由来の追及が少ないという報道もあり、どこの団体の視点で設定されているのか気になりましたので受付の方に聞いたところ、運営は、福島県の委託により 公益財団法人 福島イノベーション・コースと構想推進機構 というところが担っています。
 有料エリアに入るとまずスクリーンで概要を紹介したあと、大きな螺旋通路を通って展示エリアのフロアに入ります。
 館内は著作権のある展示が多いので撮影禁止とのことです。報道写真などは確かにそうかもしれません。各報道機関・各自治体の写真はやはり見ているとつらいものが多くありますが、それを伝え残してゆくことの意義も感じます。この時点では「…明るい未来の…」看板実物は写真紹介のみで実物はありませんでしたが、その後館の外側に設置展示されたようです。
 前月に見た東北電力の原発PR館との比較になってしまいますが、経営判断の違いによって、結果が天国と地獄に分かれてしまいました。巻き戻せないのが悔しいです。
 さらに双葉郡を、大熊・富岡・楢葉 と南下して道の駅楢葉に隣接する豚壱で昼食とします。楢葉の道の駅には温泉も併設されていて環境も良さそうなのでいつか車中泊利用させていただこうかと思います。
 近くにJビレッジがあり、聖火のスタート地点となっています。写真は撮らなかったのですが、スーツを着た一団が場内の横断歩道を渡っていましたので、準備をしていたのかも知れません。
 今回の福島の旅でも色々勉強になることや、美味しい食べ物をいただくことが出来ました。コロナを克服し、復興に弾みが付くことを願っています。